ちょっと前に感じたことを例え話で書いてみる。
ピカピカのレールの上を、ピカピカの車輪の列車が走り去っていく。 古い車輪は毎年やってくる新しい車輪と交換だ。 そして列車は登り道にさしかかる。 空回りする車輪が出てくると砂を撒く。 ギリギリと音を立てて列車は進む。 砂を撒いてヤスリのようにするのだから、ピカピカのレールしか走ってこなかった車輪はどんどん痛んでくる。
でも大丈夫。 新しい車輪はまたやってくるから。
登り道はどんどんきつくなってきた。 どんなに砂を撒いても登れない。 ああ、これは登山鉄道のように歯車を使わなきゃだめだ。 よし、歯車を持ってこようと倉庫を見渡すと、そこにはピカピカの車輪しかないじゃないか。 慌ててそのピカピカの車輪から歯車を作ろうとしたら、今は静かに速くレールの上を走ることが大事なんだ!歯車なんて必要ない!職人も配置換えだ!って全員を車輪磨きに入れ替えたんだっけって思い出した。
そして今はもう、歯車の作り方は失われた。
街から呼んでこようにも、車輪の材質とかによって歯車の作り方が違うから、手間がかかりすぎて誰も手伝いに来ない。
そうこうしている間にも坂道はどんどんきつくなってくる。 もう砂を撒いても進まない。 いくらでもあると思って車輪を使い捨てにしていたから、車輪の在庫すら無くなり、車輪を買うお金も無くなってきてしまった。 そのうちモーターが壊れ始め、ズルズルと坂道をずり落ちていく。
ああ、痛んだ車輪も丁寧に修理して大事にとっておけば良かった。 歯車作りの技術も残しておけば良かった・・・。
出演:
- 列車(とある何か)
- ピカピカのレール(進む方向を決める何か)
- ピカピカの車輪(他者と噛み合わせることの出来ない何か)
- 歯車(互いがしっかり噛み合う何か)
- 歯車職人(車輪同士が互いに噛み合えるように加工する何か)