下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち
いやー面白かった。 本が赤線だらけだ。
「学びからの逃走・労働からの逃走」をテーマに、
ある講演会の内容を書籍に起こした1冊。
日本が陥りつつある格差社会の根本的な問題が、
歴史的にも世界的にも初めて登場したであろう
積極的に下流を志向する階層の出現にあると分析し、
その問題を「時間と経済性」という、相反する
関係を持った要素を用いて説明している。
特に、現在の子供達が「時間と経済性」について
意識・無意識によらずがんじがらめであることは、
徳田賢二氏の著書「おまけより割引してほしい」の
最初の20ページくらいを読むことで同じ現象を
異なる言葉と視点で見ているのだと分かるだろう。
みんな気付きつつあるんだ。
教育現場の抱えている問題は、実は日本社会の
随所で見られる問題が顕在化しているだけなのか。
他者の良い面だけに気を取られ、それを支える
理念や構造に配慮しないままに、表層だけをただ
真似をすることを繰り返してきたが故の迷走なのか。
支え合い、伝え合い、分かり合い、受け入れ合う。
そんなコミュニケーションの大事さを痛感させられる。