オレは今日、寝不足だ。
それは、ウチの子が未明に起きてゲホゴホやっていたからだ。
眠りの浅いオレは、ちょっとした物音でも目が覚める。
オレ大丈夫、そう言って彼はまた、寝た。
結局、大丈夫じゃなかったんだが。
その朝、彼はなかなか起きてこない。
「頭が痛い」
とのたまう。
マジか。 熱を計ってみろ。
「37.3℃ある」
「痰も絡む」
「喉も痛い」
それコンボじゃん・・・。
今時の発熱外来は事前予約が必須なので、病院に連絡を取る。
その合間に彼は言う。
「おれフェアリーかもしれないのかよー!」
フェアリー?
何を言ってるのだ君は。
聞けば、仲間内では陽性者と妖精を引っかけて、フェアリーと呼ぶのだそうだ。
学校の仲間達にも連絡をしながら、彼は会話やチャットの中でフェアリーを連呼している。
そして、陽性者とか濃厚接触者とかって言葉の響きよりも、フェアリーという言葉の優しさを気に入って、オレも言う。
フェアリーだったらヤバいから、すぐ病院にいきなさい!と。
仲良しの友達もフェアリーだってわかったんでしょ?と。
なんかさ、陽性者とか、濃厚接触者って言うとさ、まるで犯罪者みたいじゃん。
実際、そういう扱いもされちゃう人もいるでしょ。
そこで、フェアリー。
そんなあなたに、フェアリー。
優しいよ。
後ろめたさが大分やわらぐ。
子供達、いや、高校生を子供呼ばわりするのもなんだけども。
彼ら、彼女らは、大人と違う感性で、コロナを受け入れてる。
病院は混雑していて、PCRの結果がわかるのは明日だ。
検査を待っている間も、検査待ちの車が列を伸ばしていく。
忙しそうに車の間を駆け回る病院スタッフ。
その合間に引っ切りなしに救急車もやってくる。
普段だったら待ち時間にイラつくところだが、今日は感謝しかない。
あの忙しさを見たら、何も言えない。
それに、今日は少しステキな気持ちになれた。
そう。 フェアリー。
その感性が、今日という日を豊かなものにしてくれた。
ウチのフェアリー候補生が贈ってくれた、優しい言葉のお陰だ。
結果が陰性だったら良いんだけどな。
ま、なるようにしかならないからね。
おやすみ。
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