池上彰氏の「話す」「書く」「聞く」能力が仕事を変える!伝える力。 氏の顔が大きく載った、本書の半分以上の幅を占める気合いの入った帯にはこう書いてある。
100万部突破! ビジネス、子育て、友人関係・・・。 “自分の思いが相手に届かない” と感じたとき必読の書。 わかりやすい開設で人気の著者が、コミュニケーションの秘訣を披露する。
日本語には良い言葉があって好んで使うんだけど、この本を表す言葉もそれ。
言霊、ですね。
まずは目次。
- 第1章 「伝える力」を培う
- 第2章 相手を惹きつける
- 第3章 円滑にコミュニケーションする
- 第4章 ビジネス文書を書く
- 第5章 文章力をアップさせる
- 第6章 わかりやすく伝える
- 第7章 この言葉・表現は使わない
- 第8章 上質のインプットをする
目次を見ていたら主に物書きの目線で書かれたのかな?と思ってしまうけれど、内容は至ってシンプル。 当たり前のことを当たり前のように書いてある、ただそれだけなんだけど、その当たり前のことを当たり前のように書き、伝えることの難しさ、その難しさに気付くことが本書の肝となる部分。
でも、この本が売れ続ける理由は何だろう。
例えば、自分がわかっていないことは説明できないんだから、まずは自分がわかっていないことをわかることが出発だ、なんて話であれば、昔は先輩や上司から、技術とかノウハウって形ではなく、社会人として当たり前の心構えとして伝えられていたものだと思うんだけど、個性だの何だのを主張して微妙にズレちゃっている人も増えている昨今、型を身につける前から型を崩しちゃう人達に違和感を感じつつも、そこを指摘して正していく努力もなされず、正す行為も歓迎もされなくなってきていて、結果として基本のキの字もわからなくなっちゃってきたぞ、ということなんだろうか。
ま、もっとも共感したのは、カタカナ言葉の濫用のところ。 そのカタカナ言葉を日本語で話してみろ、そう言われた時に適切な言葉で表現できなければ、それはその言葉を理解していないということだ、と。
カタカナ言葉を使う人も、聞く人も、何となくわかったつもりでその場を流してしまう、その危険性を痛感することが多いだけにね。
世代間ギャップというか、当たり前のことも当たり前じゃなくなってきた、そんな何か大切なものが失われつつある社会で、今こそ必要とされる一冊なのかな。
良い本だけど、売れて残念。 そんな気持ち(笑
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