「どうだいワトソン、人気の無い田舎道に続く、この痕跡はなんだろう?」
「珍しいねホームズ、大好きな散歩の最中に他のことに目を奪われるなんて」
「何を言ってるんだい!僕は散歩の時だって、食事の時だって、いつだって変化に目を奪われるんだ。 そうさ、ティータイムでさえもね!」
「ではこれは何だと思ったんだい?」
「ああ、まだわからないのかいワトソン!これは決定的な証拠なんだよ!」
「この人通りの無い道を歩いていたのは、ナカヤン家の住人だけだ、そうだねワトソン?」
「ああ、正月だと言うのに殆どと言っても良いくらい、人と会わない村だからね。 それがどうしたって言うんだい?」
「水の跡は約40cm毎に残っている。 車のタイヤにしては幅が広すぎるし、道の真ん中に一直線に続いているだろう」
「これはね・・・」
「ナカヤン家の子供がドブに落ちて、とぼとぼと帰った跡に違いない!」
「そんなことはあるもんかホームズ! 薄氷が張るほどの寒さだし、どうしてドブに落ちるんだい!」
「まあ、まずは痕跡を辿ってみよう、きっと君は驚くはずさ」
「ほら、ご覧よワトソン。 濡れた靴、泥だらけの服が玄関前に置いてあるじゃないかwww」
「本当だホームズ! 部屋の中に風呂から出たばかりの子供が居るじゃないか!wwww」
「余計なことをやって失敗するのがナカヤン家の伝統なのさ、ワトソン君!」
「今回の推理も流石だね、ホームズ。 おや、そろそろハドソン夫人が来る時間だ」
「ああ、良い暇つぶしになったね。 お陰でコカインを愉しむ暇もなかった。 さあ、次の相談事は何だろう!」
おしまい!
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