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【書評】ルポ最底辺―不安定就労と野宿

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最近、街がどんどん綺麗になっている。
街だけじゃない、駅も、公園も、街全体が。
そこには、昔はよく見かけた野宿者の姿は無い。
彼らは無事に野宿者から脱したのだろうか?
もしや、見えない存在にさせられてるのでは?


長年、野宿や日雇いの支援を続けてきた筆者が、
統計の数字や行政発表のマジックを明らかにし、
また自らを日雇い労働者と同じ立場に置いて、
その苦渋に満ちた生活を白日の下にさらしている。
 野宿者は怠惰な人生の末路なのか? 否。
望んでも意欲があっても仕事そのものが無い、
障害を持った子供と一緒に暮らせるのは野宿だけ、
DVから逃げても子供と一緒には施設に入れない、
帰れる家が無ければ生活保護も受けられない、
そもそも支援する行政の受け皿さえない・・・。
私有地に入り込んだら、それは犯罪になる。
では、駅や公園、河原や道端等の公共スペースから
締め出された人は、次はどこへ行けば良いのだろう?
選挙権どころか生存権すら危うい彼・彼女達の声は、
あまりにもか細く、小さく、振り返られる事が無い。
きらびやかな街の影に広がる、見えないスラム。
世界の事例を紹介しながら、自分にできることを
考えさせられる一冊。

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