泣いた。 いや、マジで。 絶対に通勤電車とかで読んじゃいけない。 本を読んで、感動して涙が出るなんて久しぶりだ。
だけど、ひとしきり感動した後は、「じゃぁ自分の会社にどう生かしていくんだ?」という、その重い課題を背負ったことに気付いて、ちょっとどんよりしてしまうのだがな。
だって私達は知ってしまったんだから。 そういう会社もあるんだってことを。 やればできるんだってことを。
第1部 会社は誰のために?
- 「わかっていない」経営者が増えている!
- 会社経営とは「5人に対する使命と責任」を果たすための活動
- 業績ではなく継続する会社をめざして
- 業績や成長は継続するための手段にすぎない
- 社員は利益だけを求めているわけではない
- 「多くの人を満足させる」こと。それが会社の使命
- 経営がうまくいかない理由は内側にある
- 中小企業にしかできないことがある
- 日本で大切にしたい会社を増やそう
- 続けていくことの大切さ
第2部 日本でいちばん大切にしたい会社たち
- 障害者の方々がほめられ、役立ち、必要とされる場をつくりたい
日本理化学工業株式会社- 「社員の幸せのための経営」「戦わない経営」を貫き、48年間増収増益
伊那食品工業株式会社- 「人を支える」会社には、日本中から社員が集まり、世界中からお客様が訪ねてくる
中村ブレイス株式会社- 地域に生き、人と人、心と心を結ぶ経営を貫いていく
株式会社柳月- 「あなたのお客でほんとうによかった」と言われる、光り輝く果物店
杉山フルーツ
本書を貫く考え方は、儲けよりも、何よりも、「人」を中心としている。
昨今の企業改革や、人事制度、評価制度、そういったものに息苦しさとか、殺伐さを感じつつも、生き残るためにはそうするしかない、そう言い聞かせながら仕事をしている人にとっては、目から鱗な内容ではなかろうか。
自社の社員が幸せを感じられずして、取引先やお客様に喜んで戴く事なんてできない、みんなが喜んでくれるから会社が、株主が喜ぶ、そんな考え方を貫いて経営をしている会社ばかりだ。 それも好業績で。
もちろん規模の大小、市場やら何やら違いはあるだろうけれども、それは他人のせいにした言い訳にすぎないと一刀両断。 そりゃそうだ、同じ事をやればバンバン儲かってウハウハかと言えば全く違う。 その経営者の持つ器、人を引きつける魅力、信頼を得る実直さ、そうしたものが合わさった結果だからだ。
ビューティフル・カンパニーも顧客との新しい関係が企業を成功に導くとしていたけれど、やっぱり会社が伸びていく活力の原点は人間力なんだろう。 それは決して新しい概念ではなくて、昔からわかっていたことなんだけどね。
企業がさらなる成長を目指していくなかで、仕組みやルール、規制や競争といった、人間としての暖かな感情よりも別の尺度を重視したことで、人が疲弊し、企業が疲弊し、お客様も喜ばなくなっていったんじゃないかな。 次の世代にどうバトンを渡していくのか、セブンイレブンの正体を読んだ時も似たようなことを感じたけれど、益々その想いは強くなっていく。
人こそ財産。 肝に銘じたい。
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